白内障の体験談、経験談を更に探す。
吉行淳之介氏の『人工水晶体』 講談社 を発見、 著者自身の白内障手術の体験記である。
1985年 今から35年前の日本では『眼内レンズ』が普及していない時代の白内障手術であり、その当時は最先端の技術であった『人工水晶体』=『眼内レンズ』を挿入した経験を描いたエッセー集。
下記は本の紹介文内容。
わずかに光しか感じなくなり、もはや「手なずけ」ようがないほどの白内障に病んでいた右眼の視力が、たった20分の手術で、1.5まで回復した。「人工水晶体移植手術」の驚異の体験記を、簡潔な名文でつづり、講談社エッセイ賞を受賞した表題作に、病気への対応法を軽妙に説く「養生訓」などを加えた「実用の書」。
『BOOK』データベースより
経験は学問に勝る。~ イギリスの諺
賢い方法は学問により他の人の経験を知識としてゲット、その後、それを一体化するために、アクションする!!
吉行淳之介氏の『人工水晶体』
エッセイの名手と言われた吉行淳之介氏の書いた白内障手術の体験をまとめた随筆。
1985年当時、人工水晶体の手術がまだ始まったばかりの最先端の技術を受けた吉行氏が書いたこの本に手術後の経過が良いと書いた為か、彼の主治医はその後引っ張りだこになったようである、現在ではありふれた手術であった白内障手術も今じゃありふれた手術になり、10分前後で入院せずに日帰りで自宅に帰れて、医療技術の進歩に驚かされる。
本の構成はメインは白内障手術の話であるが残りはその他の著者の病気にまつわるエッセイがいくつも収録されている。
水晶体にできた白髪
吉行淳之介氏が52歳の時に目の具合が悪く眼科に行って原因が白内障と分かった時に医者が回答した言葉が絶妙、還暦を迎えた初老の人には響く言葉。
「白内障は 眼 の 水晶体 の 白髪という よう に 考え て ください」 そういう 意味 の 答 で あっ た。 たしかに、 白髪 が 痛く ない よう に、 その後 も 眼 が 痛かった。
吉行淳之介. 人工水晶体 (講談社文庫) (Kindle の位置No.27-29). 講談社. Kindle 版
白内障の原因の一部は遺伝性、アレルギー性白内障であるが大半は老化現象により水晶体が白濁する老人性白内障であり、病気ではなく生理的な自然現象である。
しかし、老化で耳が聞こえなくなってもハゲても皺ができても日常生活には問題がないが目は論外である。
特に現代の社会ではパソコン、スマホで情報を調べるにしても車の運転をするにしても視力はかかせない、なければ暮らせない!
この様に言っている私も還暦を過ぎてハゲて皺ができ、大音量でTVを見ているがこのままいくと90歳まではいけそうなので、生活の為に稼がなければならず、『目の玉』は非常に大切である。
60年前の日本人の平均寿命が約65歳でほとんどの人が白内障を患う前に死んでいった時代が懐かしい・・・
曖昧な医師たちの説明
眼内レンズ(人口水晶体)移植が日本で始まったばかりの1985年代は積極的に人工 水晶体の移植をする医者はいなく、人工水晶体を希望していた吉行淳之介氏は白内障の診断が出てから8年もそのチャンスを待っていた。
私 が 一年 に 一度 くらい 出かけ て い た 国立 第二 病院 では、 人工 水晶体 の 手術 は おこなわ れ て い なかっ た。 縁 を たどっ て 医師 を 見つけ、 質問 し た こと も ある。 しかし、 曖昧 な 返事 しか 戻っ て こ なかっ た。 テレビ で、 新しい 手術 が 紹介 さ れ た こと が 何度 か あっ た。 しかし、 これ も 一番 知り たい 点 は、 すべて 曖昧 だっ た。
こういう こと は、 日本 では まだ その 時期 では ない 証拠 なのか。 医師 が 自分 の 言葉 に 責任 が 持て ない から、 おのずから 曖昧 に なる のか、 と 推測 し た。
外国 の 人工 水晶体 の 現在 について の 医における 人工 水晶体 について の 文章 を 読む と、 及び腰 が 目立っ て いる。『 あまり 心配 は ない と 思い ます』 とか『 厚生省 の 許可 は まだ 下り て い ませ ん が』 という ふう に、 口 を 濁す 部分 が、 かならず 出 て くる。 これ では、 依然として 時期尚早 と 理解 する しか ない。 白内障 と 診断 さ れ て、 八 年 が 経っ た。
吉行淳之介. 人工水晶体 (講談社文庫) (Kindle の位置No.134-136). 講談社. Kindle 版.
どんな手術でも100%ミスがない手術はないが最新の医療技術にはミスが付きもの、それでも8年以上も良く見えずに堪えていたその時代状況に驚かされる、今ならあっと言う間に約10分で白内障手術は完了するのだから。
手術を決心するまで
たまたま、吉行淳之介氏が書類整理中に目にした白内障手術の記事に目を通してその記事の明確さから安心して任せる医師と判断し、手術を決めた!
めったにない明快な文章である。まず、患者の知りたい問題点がすべておさえてあり、書き方が具体的であり、こまかいところに神経が行き届いている。
それに、その手術について、その限界もはっきり述べてあって、『しかし、人工水晶体が何十年だっても良く見えるという保証は現在のところありません。ですから、あまり若い人にはお勧めできません』
こういう明快さ、曖昧なところのなさは、何に拠って山てくるのだろう。
まず、手術の腕に余程の自信があるということが考えられる。しかし、強烈な自信家の持つあくの強さはなくて、医師としての自信と患者にたいする配慮とのバランスが程よく保たれている。これは、人柄によるものだろう。読み終ったとき、私は即座にきめた。「この先生に手術してもらおう」
吉行淳之介. 人工水晶体 (講談社文庫) . 講談社. Kindle 版
その後、吉行淳之介氏が手術を決めて実際に記事を書いた医師に会ったところ、 記事を読んで感じた通りの話が明晰な人であったらしい。
「文は体を表す」、「文は人なり」、「書は人なり」です。
又、33歳の若さにも魅力を感じたらしい。
手術には知識、経験も必要だが若さも必要である、ある意味、手術する為にはアスリートのようなパワー、集中力が欠かせない。
何故なら漢字で表しているように『手で行う術』なのでそこにはヒューマンエラー常にがつきまとう。
手術が成功する確率を100%に近づけるためには経験豊かな知識と若さのを持った40歳前後の医師がベター、いくら経験豊かな医師でも60歳を過ぎれば目は見えず、指は動かず、集中力も落ちるのでリスクが増加し、成功する確率が低くなる。
将来の白内障手術はAIを活用して限りなく成功する確率を100%に近づくのであろう。
清水公也氏の白内障手術 紹介サイト
吉行淳之介氏が昭和59年に武蔵野赤十字病院にて、白内障の手術を担当した医師の書いた白内障紹介サイト。
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